クリスマスの分かち合い、広がる寄付の輪
災害や物価高などの不安定な情勢の中、いつもより苦しい年の瀬を迎えている人たちに対し、日本でもクリスマスに分かち合いの輪が広がっています。
分かち合いのニュースは私たちの気持ちを和ませてくれます。その一部をご紹介します。
クリスマスの分かち合い
ブックサンタ
NPO法人チャリティーサンタで毎年12月24日のクリスマスイブに、サンタクロースにふんしたボランティアが子どもがいる家庭にプレゼントを届ける「サンタ活動」に取り組んでいます。全国の書店と連携したブックサンタや洋菓子店と連携したシェアケーキなど、個人や企業の寄付によって活動をしています。今年は、元日に発生した能登半島地震で被災した子どもたちへ、24日の夜に絵本を届けます。
NPO法人チャリティーサンタ
子ども食堂
兵庫県姫路市本町の賢明女子学院中学・高校の食堂では21日夜、「クリスマス子ども食堂」が開かれました。子どもたちは食事を楽しんだ後、生徒たちと折り紙を折ったり、お菓子やクリスマスカードをもらったりと交流を深めました。
2024年12月22日 朝日新聞より
HIGH FIVE CHRISTMAS2024
「HIGH FIVE CHRISTMAS2024#ひとり親家庭のサンタになろう」は頑張っているシングルファミリー12,000世帯の子どもたち17,000人に向けてクリスマス当日にギフトをお届けし、サプライズとエールを送る取り組みです。お菓子や絵本、文房具などのプレゼントに、子どもは大喜び。そして多くの親も、暖かなエールの想いを受け取り、力に変えることができたといいます。
HIGH FIVE CHRISTMAS2024
日本での寄付の広がり
クリスマスに限らず日本では「寄付」活動が年々増加しています。
2020年の個人寄付総額は1兆2,126億円、10年で約2.5倍の増加です。
2011年の東日本大震災を契機に、7割弱の人が寄付を行い、1兆円を超える寄付が行われ寄付を行う人の割合も総額も増加しました。
震災後は、震災以前と比べて、割合・総額とも1割・2,000億円増加する傾向が継続しています。
また寄付額の大きな要因の一つである「ふるさと納税」の利用率は2022年に寄付全体の3割を超え、ふるさと納税が寄付を牽引しているのが伺えます。
他者のために使うお金は「幸福」への鍵?
内閣府が発表した「市民の社会貢献に関する実態調査(令和2年)」によると寄付をした理由で最も多いのが、「社会の役に立ちたいと思ったから」(59.8%)でした。
寄付行動が幸福感を高めていることを明らかにした有名な実験がDunn et al.(2008)と言われています。
Dunnらは、被験者に5~20ドルのお金を分配し、被験者をランダムに2つの群に割り当て、一方の群には「自分自身のため」に、他方の群には「他者のため」に、各自に分配されたすべてのお金を当日中に使いきるように指示したそうです。
実験の前後で被験者に主観的幸福感尺度を用いて幸福感を回答させ、変化を調べたところ、「自分自身のため」に使うよう指示された群よりも、「他者のため」に使うよう指示された群で、より大きな幸福感の上昇が確認された。」という研究結果があります。
経済的な状況による違いを確認するため、カナダと南アフリカで同様の実験が行われました。
参加者はランダムに2つのグループに分けられ、1つのグループには、「自分のためにお得なお菓子等の入った袋を購入する機会」が与えられ、もう1つのグループには、「地元の病院にいる病気の子どもたちのために同様の袋を購入する機会」が与えられたそうです。
その結果、カナダでも南アフリカでも、病気の子どもたちのためにお菓子等が入った袋を購入したグループの方が、自分のために購入したグループよりも、幸福な気分になったことが確認されました。
南アフリカでは20%以上の参加者が過去1年の間に自分か家族の食糧を得るためのお金がないという経験をしていたにも関わらず、です。
経済的な要因に幸福度は影響を受けなかったということになります。
私自身をみても、クリスマスプレゼントを家族や大切な仲間やご近所さんに様々な形で用意をしていますが、それを準備する時間に幸福を感じます。
そして一足先に、近所の畑のおじさんに、「メリークリスマス!」と手作りクッキーをプレゼントしたら「素敵なサンタさんだ」と言われ、心が温かく満たされました。
人生における幸福の瞬間です。
今週は、そんな幸福な時間が、世界中の様々な場所で起きることを願ってやみません。