純粋な衝動が社会を動かす!若者が気軽にはじめるソーシャルアクション

自分たちは何でもできると信じるほど世間知らずでありながら、必ず実現すると信じる大志を抱いている。
そんな若者たちが、自然体で取り組む社会貢献アクションは、世界中に存在します。もちろん日本にも。
経験や固定観念がないからこそ、無謀に思えるチャレンジにも挑み、時に驚くような成果を生み出す。
そして、彼らの純粋な「誰かの役に立てる喜び」は、大人たちにも影響を与え、心を動かす力を持っています。
今回は、そんな若者発の社会貢献アクションをご紹介します。
サンディエゴ発:2万1600足の靴を寄付しギネス更新

サンディエゴの高校を卒業したオーガスタス・ホルムさんは、若者たちで非営利団体「ユース・フィランソロピー・カウンシル(YPC)」を立ち上げ、2024年の12月7日に地域の女性や子どもたちへ靴を寄付するプロジェクトを実施。
2万1600足を寄付し、ギネス世界記録を更新しました。
きっかけは13歳の時。ホルムさんは、母が主催する地元診療所の資金集めイベントを手伝い、友人たちと寄付活動に取り組みました。その過程で、若い自分たちでも人々を動かせることに気づき、数ヶ月で13万ドル、さらにイベント当日に10万ドルを集める成功体験を得ます。「私たちは、変化をもたらすこの活動に夢中になりました」とホルムさんは振り返ります。
この経験が原点となり、仲間と共にYPCを設立。後方支援やスピーチの重要性を学びながら、活動を広げていきました。
ホルムさんは言います。
私たちの使命は、子どもたちが子どもたちを助けるということです。年齢や経歴に関係なく、私たちは皆、声の力を使って地域社会に変化をもたらすべきです。
自分たちは、『何でもできると考えるくらい世間知らずだが、必ず実行できると信じるくらい大志を抱いている』と。
若者の原動力
もともと地域で行われていた「シューズ・ドライブ」に、ホルムさんたちはロサンゼルスの靴ブランド「ジェリーポップ」と連携し、1万7,000足の靴の寄付を目指しました。
ギネス記録更新も視野に入れ、目標を明確に設定。単なる寄付イベントではなく、若者たちにとって一生に一度のボランティア体験を提供し、次世代の寄付者を育てる機会と位置づけました。
イベント当日、2万1604足の靴が寄付されました。
参加者の一人は、ハウスクリーニングとして働く中で、すり減った靴を新調でき、子どもたちにもクリスマスプレゼントを届けることができたと話します。

寄付イベント「シューズ・ドライブ」で靴を受け取る人(YPC公式インスタグラムより)
ユース・フィランソロピー・カウンシルの主任顧問を務めるパット・サラスさんは言います。「皆、人を助けることで計り知れない喜びと満足感を得ているんです。」
ギネス達成後、寄付金3,000ドルも集まり、「YPCラボ(社会変革コンテスト)」「学校用品の寄付」「世代間交流プロジェクト」などに活用されています。
現在ホルムさんは、医療保険プログラム「メディケア」の手続き支援アプリ「CheckRx」を開発。800万ドルの企業評価額を得て、75万ドルの資金調達にも成功しました。
原動力について尋ねられると、ホルムさんは笑顔でこう答えています。
気分が良くなるからやっていると言うのは、少し利己的ですよね。
でも、私は自分のコミュニティを助けることが大好きで、すぐにこれを止めるつもりはありません。
日本にも広がる若者起点の社会貢献
日本でも、高校生たちが立ち上げたNPO法人「香川活性化生徒の会」が活動しています。環境問題、子ども支援、防災活動など、香川県の地域課題に幅広く取り組んでいます。
代表の白井さんは、中学時代から河川清掃や観光PR活動に取り組み、より大きな影響を与えたいと法人化を決意。
未成年による法人設立という前例のない挑戦に、周囲の大人たちも協力し、資金も集まりました。
2023年には「かっかつ祭り」を開催。
お笑い芸人のステージ、地震体験車、環境クイズ、テクノロジー体験など、多彩な企画で約500人を集めました。その後も行政からの依頼が増え、後輩たちにも活動が引き継がれています。
白井さんはこう語ります。
中高生だからといって子ども扱いされず、いろんなことができるんだと思われるようになり、行政からの依頼も増えたので、このまま後輩たちにも頑張ってほしいし、ぜひたくさんの高校生たちに、この団体を活用して自分がやりたいことをやってほしいと思います。(「ほ・とせなNEWS」より抜粋)
純粋な衝動が社会を動かす
若者たちの活動は、目の前の誰かを助けたいという純粋な衝動から始まります。
そして、年齢や肩書きにとらわれず、多様な市民の声の価値に気づき、人を巻き込む力を育てていきます。
経済性ではなく、人間性に訴える。
「誰かの役に立ちたい」「人とつながりたい」という純粋な衝動が、活動を自然に広げる原動力になっています。
「市民の力は、静かに、しかし確実に世界を形作る。」
— マハトマ・ガンジー
若者を起点に、新たな市民社会が広がりはじめています。