HOPIX(ホピックス)|5月19日週の「希望の市民」トピック

HOPIUSの新企画「HOPIX(ホピックス)」では、世界のニュースの中から“希望の兆し”をピックアップし、カテゴリー別にお届けしています。
今週は【市民】のカテゴリーから──
市民の意思が社会を動かし、未来への光をともす2つのニュースをご紹介します。
ホピックス1
台湾、ついに原発ゼロへ。いのちと共存する未来にむけて

撮影:藍原寛子(あいはら・ひろこ)
2025年5月18日0時、台湾で初めて「稼働中の原子力発電所ゼロ」の状態が実現しました。1970年代から続いてきた原発の時代に、静かに終止符を打つこの出来事は、市民と政府がともに歩んできた道のりの証です。
台湾の脱原発は、経済効率ではなく「いのち」や「暮らしの安心」に価値をおく選択。
困難や反対の声のなかでも、その歩みは止まることなく、今、ひとつの大きな節目を迎えました。
以下、ハンギョレ新聞より抜粋
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■台湾電力「原発がなくても安定…再生可能エネルギーが代替」
曾会長は「台湾の脱原発は時代的な流れ」だとし、脱原発批判世論に対し「原発がすべての面で優れているならば、なぜ原子力産業は成長を続けられないのか」と反問した。
さらに「寿命が終わった原発を修理したり10年以上かけて新しい原発を建てるより、風力や太陽光など再生可能エネルギー設備を急速に増やす方が、最も安定的で効率的に電力供給任務を達成する道」だと断言した。
台湾電力公社は脱原発を契機に再生可能エネルギー設備を急速に拡充し、2050年には「カーボンニュートラル(炭素中立)」と電気料金の安定化という二兎を追う計画だ。
台湾政府も2035年までに15ギガワット(GW)の海上風力開発計画を推進し、「2050年までに再生可能エネルギー割合60%」を達成するカーボンニュートラル目標を発表した。
■福島避難民「大きな事故なく脱原発実現したのは幸い」
脱原発は、破壊的な核エネルギーから生命と平和を守ろうとする人々の宿願だ。1954年にロシアで世界初の原発が稼働して以来、稼働していた原発を閉鎖する決定を下した国は、イタリア、ドイツなど世界的にも数える程度だ。
韓国、日本、フィリピン、インドなど10カ国の環境団体のメンバーらは、原発稼動が止まる前の17日夜、台北にある台湾電力公社本部前で脱原発を祝う集会を開いた。
集会に参加した日本の福島原発事故の避難者である大賀あや子さんは「台湾が過去50年以上の間、福島のような大きな事故を経験せず、原発を閉鎖したのは本当に幸い」だとして、目を潤ませた。
市民の声が、ひとつの国のエネルギー政策をここまで変えていく。
台湾の決断は、アジア、そして世界にとって「希望は選択できる」という確かなメッセージとなりました。
ホピックス2
「創造することの喜びを」──アーベル賞、柏原教授が受賞
2025年5月20日、日本の数学者・柏原正樹さん(京都大学特任教授)が、数学界最高峰の賞のひとつ「アーベル賞」を受賞しました。日本人初の快挙であり、長年にわたり数学の世界に挑み続けてきた歩みが評価されました。
柏原氏が語ったのは、知の世界における“創造”の尊さ。
その言葉からは、知性の喜びと未来を信じる力が、静かに滲み出ています。
以下、NHKニュースより抜粋
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「数学のノーベル賞」とも呼ばれる「アーベル賞」の授賞式がノルウェーで行われ、日本人として初めて選ばれた京都大学の柏原正樹特任教授がスピーチで、恩師から教わった「創造することの大切さ」を強調しました。
アーベル賞はすぐれた業績をあげた数学者にノルウェー政府が贈る国際的な賞で、ことしは代数解析学の分野で「D加群」と呼ばれる理論を構築するなどした京都大学数理解析研究所の柏原正樹特任教授が日本人として初めて選ばれました。
柏原特任教授はスピーチで「この賞は50年以上にわたる研究全体に対する評価で、とても光栄です」と喜びを語った上で、恩師である佐藤幹夫氏の名前を挙げ「数学において新しいものを創造することの大切さを教わり、研究人生の重要な指針となった」と振り返りました。
人生をかけて問いを深めること。誰かの言葉に背中を押され、あきらめずに探求を続けること。
その姿は、学びや創造の道に希望を見出すすべての人に力を与えてくれます。
来週もまた、希望のまなざしで世界を見つめ、心を灯すトピックをお届けします。
HOPIXは、希望の気配をあなたとともに集めていきます。