HOPIX(ホピックス)|6月2日週の「希望の地球」トピック

HOPIUSの新企画「HOPIX(ホピックス)」では、世界のニュースの中から“希望の兆し”をピックアップし、カテゴリー別にお届けしています。

今週は【地球】のカテゴリーから──
6月5日の「世界環境デー」にあわせて、国内外で広がる前向きな取り組みをご紹介します。

世界環境デー2025「プラスチック汚染をなくそう」

国連環境計画(UNEP)が主導する世界最大級の環境アクション「世界環境デー」。
2025年のテーマは「プラスチック汚染をなくそう」でした。

プラスチックは、日々の暮らしの中で便利な存在である一方、地球全体をむしばむ深刻な問題にもなっています。
毎年4億トン以上が生産され、海や土壌に蓄積されるだけでなく、私たちの体の中にまで入り込んでいると言われています。

しかし同時にこれは、「最も解決可能な環境課題のひとつ」とも呼ばれています。
UNEPは「#BeatPlasticPollution」キャンペーンのもと、
“断る(Refuse)・減らす(Reduce)・再使用(Reuse)・リサイクル(Recycle)・見直す(Rethink)”という行動を世界中に呼びかけています。
関連サイト

韓国・済州島からのメッセージ:循環型社会への挑戦

今年のグローバル開催地となった韓国・済州道では、「2040年までにプラスチック汚染ゼロ」を掲げ、
ごみの分別や使い捨てカップのデポジット制度を省全体で推進しています。

韓国では、プラスチックのライフサイクル全体に取り組む国家戦略をもとに、
政府・企業・市民が連携しながら“循環”を基盤とした社会モデルを築いています。
この姿勢は、持続可能な未来を目指すアジア全体のロールモデルにもなっています。

日本や中国でも、企業や地域が変化の担い手に

日本でも、企業・自治体などで、“使い捨てない社会”への一歩を踏み出しています。
また環境課題に取り組むスタートアップも出てきています。

◾ コスメデコルテ|白樺の森に100本の苗木を

北海道美深町の「DECORTÉ 白樺の森」で、地元の小中学生とともに白樺の苗木100本を植樹。
未来へつなぐ「森づくり」を通して、自然との共生の大切さを伝える取り組みです。
公式サイト


◾ 海遊館|“海のいのち”と暮らしのつながりを見つめる

大阪の海遊館では、国連機関と連携し、海ごみの回収と展示を通して海洋プラスチックの実態を伝えています。
ジンベエザメの胃から見つかったプラスチックごみなどの展示は、私たちの日常と自然のつながりを問い直す機会を提供しています。
報道リンク


◾ ジョイクル|“燃やさず、現地で資源化”するごみ処理革命

スタートアップのジョイクルは、可搬式のごみ処理プラント「JOYCLE BOX」を開発。
ゴミを運ばず、燃やさず、熱分解によりバイオ炭やセラミック灰に資源化します。
データ可視化ツール「JOYCLE BOARD」と連携し、温室効果ガス削減量や稼働状況のモニタリングも可能。
離島や医療機関などでの実証が進み、「地域密着型の循環」を支える新たなインフラとして注目されています。
サイト


◾ Circloop|“使い捨てない日常”を社会にひろげる

Circloopは、リユース容器の洗浄・回収・再配布を一括管理する循環型サービスを展開中。
オフィスやイベントで使い捨てカップに代わるリユーザブルカップを提供し、ごみ削減と行動変容を後押ししています。

2025年4月時点で1日あたり2,500個のカップが活用され、自治体や公共空間への展開も進行中。
「サステナビリティをあたりまえに」を掲げ、都市にも地域にも根づく仕組みを実装しています。
サイト

世界の企業も“循環”をリードする動き

環境デーを契機に、グローバル企業も続々と循環型社会への取り組みを加速させています。

  • コカ・コーラ(インド):再生プラスチック製のベンチを10都市に380台設置
  • レイズ:水資源に配慮した農業を描く映画『Drops of Joy』を公開
  • ネスレ・マギー:食べられるフォークを導入し、使い捨てを削減
  • KFCインド:80%の包装を堆肥化可能に転換し、再生エネルギー店舗も導入
  • ゾマト:2030年までに配送車両をすべてEVに
  • Lee Cooper:タバコの吸い殻から作られたジーンズを発表
  • ディアジオ:脱炭素と生物多様性を軸としたESG戦略「Society 2030」推進
  • パナソニック インド:#PanasonicForTheWorld で50万本以上の植樹を達成
    報道リンク

希望の循環が、世界を包み始めている

6月5日の世界環境デーは、「プラスチック汚染をなくそう」というシンプルながらも本質的なテーマを掲げ、各国の自治体や企業、市民社会の行動を促しました。
韓国・済州道での先進的な取り組みや、国連が主導する世界プラスチック条約の交渉など、国際社会では循環型社会の実現に向けた連携が着実に進んでいます。

一方で、日本国内ではこのテーマが大きく報じられることは少なく、プラスチックごみが環境や人体に及ぼす深刻な影響についての認識は、まだ広く社会に浸透しているとは言えません。
世界が変化するなか、日本では環境問題が“自分ごと”として捉えられるには、なお時間がかかると感じます。

それでも、国内にも希望の芽は確かにあります。
ジョイクルやCircloopのように、廃棄物や使い捨ての常識を問い直し、技術と仕組みで循環を実装しようとするスタートアップが登場しています。
これらの企業は、制度や政策に依存するのではなく、暮らしの現場から変化を起こそうとする存在です。

いま私たちに求められているのは、未来を託すだけでなく、日常の中で行動を選び取ることです。
「使い捨てない」社会をつくることは、誰かに任せるものではなく、一人ひとりの小さな選択の積み重ねで実現していくものです。

環境問題は、遠い話ではありません。
私たちの日々の暮らしの中に、変化の起点はあります。

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