つくば市長が退職金額を市民のインターネット投票で決定 、その結果は・・?
市長の退職金を市民で決める
茨城県つくば市の五十嵐立青(たつお)市長(46)は、2024年8月に自らのブログで、同年11月の任期満了で支払われる退職金の金額を、市民のインターネット投票で決めると発表しました。
市長の業績を市民が0~100点の間で10点刻みで評価し、その平均点を退職金に反映させる仕組みです。
市長はなぜこのような突飛なアイデアを思いついたのでしょうか。
市長の退職金は、組合条例に基づいて定められており、自治体によって異なります。
つくば市の場合、1期(4年)ごとに2,000万円が支払われることになっており、五十嵐市長は、公約で掲げていた退職金廃止を守り、1期目の市長退職金を最終日の給与を1円にすることによって、受け取りを22円としました。
これ対して市民は公約を果たすために実質ゼロにしたことを評価する一方で、仕事で成果を出しているのだから、今後の市長の成り手を減らさないためにも全額を受け取るべきだという意見もあったそうです。
五十嵐市長は再選を果たし、2期目の職に就く際に、退職金廃止を公約には入れず、市民の様々な声を反映する方法を考えました。
それが、「公約の進捗と実績に対する評価と、退職金の金額を連動させるインターネット投票」でした。
インターネット投票はつくば市のアプリ「つくスマ」で
市長は市民誰もが市政に興味をもち市長を評価できる仕組みとして、ロードマップを作成しその進捗を公表するなど、明快な取り組みで市政を行っています。
またつくば市のアプリ「つくスマ」とマイナンバーカードを使い、市政への評価を単に「賛成」「反対」の二者択一ではなく、10%単位で表現できる仕組みを構築しています。
そして、9月18日、市長の行政運営を市民が評価して退職金に反映するとした条例案について、市議会の委員会は委員6人の賛否は同数だったものの、反対の立場をとる委員長の裁決で否決。
しかし、最終4日に行われた市議会の本会議では議員の賛否が12と同数となり、議長の裁決で条例案が可決されました。
その後、市のアプリ「つくスマ」を使い、退職金の金額を決めるインターネット投票を実施。
2024年11月1日から11日間で1,048人が投票しました。0点から100点満点の10点単位で評価したところ、点数の平均は62点となり、これをもとにして算出された市長の退職金は1,278万円になりました。
「市民が政治家を評価する機会を選挙以外でも作ることができ、新しいチャレンジとして目指していたことはできた」
と五十嵐市長はコメントしています。
課題として、投票にはマイナンバーカードが必須であったため、デジタルに弱い人々が参加できなかった可能性を示唆し、投票のハードルを下げるさまざまな努力をしていくとも語っています。
新しい政策を推進しようとすれば、課題や意見が出てくるのは当然です。真の市政が実行されていくかどうか、今後も五十嵐市長の推進力に注目です。