『メディアヘルス』とは
私たちは、メディアの情報を能動的・理性的に取捨選択する行為や習慣を『メディアヘルス』と名付け、広げようしています。
日々摂取する「情報」が心身に影響を与えることは、科学的にも実証されつつあります。
そのため、SNSを含むメディアの情報を受け身で浴び続けるのではなく、自身の思考や行動への影響も考慮しながら、情報の量と質を主体的に選び取る姿勢が重要だと考えています。
なぜ『メディアヘルス』が必要なのか
人間の脳には「ネガティビティ・バイアス」と呼ばれる危機や不安に関わる情報に、より強く反応してしまう性質があります。
営利を目的とするメディアは、広告などで収益化するビジネスの構造上、注目を集める題材や表現が選ばれやすい側面があります。
そして近年、SNSなどによって情報量が爆発的に増えた結果、ゴシップやスキャンダルの過剰な露出、不必要に分断を煽る表現、ときには感情を焚き付けるフェイクニュースなど、量的・質的に不健全な情報環境が生まれやすくなっています。
建設的な批判や課題を掘り起こすジャーナリズムは、個人の知る権利の担保や民主主義の運営に不可欠です。
しかし、「アテンション・エコノミー」と呼ばれる人の注意力を奪い合う市場競争の中で、過剰に危機や不安を煽っている側面も否定できません。9割の人が「ネガティブなニュースが増加していると感じる」という2022年の調査結果もあります。
そしてその結果、「気持ちが暗くなる」といった理由で、日本だけではなく世界中でもニュースを避け始めているのです。
しかしながら、メディアの情報とは本来、自分にとっても社会にとっても、より良い未来に向けて主体的な判断の土台にするためのものではないでしょうか。
社会で起きていることが複雑に絡み合い、簡単な「正解」はない時代です。
無意識的にネガティブな情報を避けるだけではなく、ジャーナリズムに基づいた国内外の情報や建設的な批判を取り入れるなど、多様で適量の「情報のポートフォリオ」を、個人それぞれが意識的に創る必要があると考えています。
また2022年にChatGPTが公開され、既にネット上の情報の相当割合がAI生成によるものと、一部調査で指摘されています。そして今後も情報量は膨張し続ける一方でしょう。
情報量と人間の処理能力の乖離が広がり続ける中で、ハンドルを自分で握るように、「どのような質の情報を、どれぐらい摂取するのか」を能動的に選択する必要性が高まると感じています。
そうしなければ、テクノロジーによって無意識の「ネガティビティ・バイアス」が刺激され続け、自分にとって価値の低い情報を、考える間もなく過剰に摂取してしまう恐れがあるからです。

「食事」に例えると
脂っこいもの・甘いものを、つい食べ過ぎてしまう方は多いのではないでしょうか。
この反応は人類は食べ物が不足していた歴史が長いため、脂肪や糖分の多い、高エネルギーの食事を本能的に求めてしまうことが要因の一つと指摘されています。
「ついなんとなく食べ過ぎてしまう食事」が、必ずしも体に良いとは限らない、という考え方は現代の日本で一般的だと思います。
私たちは、情報についても同じ構造だと捉えています。
「ついなんとなく見過ぎてしまう情報」が、自分にとって有益とは限らないのです。
そして、食事において「栄養バランスを考える」という文化が生まれたように、情報においても同様の意識変容は十分可能である、とホピアスでは考えています。

『メディアヘルス』を共に育てませんか
読者側の意識が変われば、 情報やニュースの注目度も変わります。
それは結果的に読者・視聴者が、理性的に価値が高いと感じる情報の発信を応援することでもあり、供給側のメディアの支援や行動変容にもつながります。
つまり、『メディアヘルス』は個人の習慣の観点だけに留まらず、より健全な情報社会への足がかりにもなり得る概念であると私たちは信じています。
『メディアヘルス』の考えは、まだ生まれたばかりです。
私たちは今、主にメディア関係者の方々と議論を重ねながら、より包摂的で公共的な概念へとブラッシュアップし、本ページも随時アップデートを行っています。
以下の音声をお聴きいただき、共感や違和感を感じた方はぜひ対話にご参加ください。
SNSでの感想投稿(#メディアヘルス)、ホピアスへの直接のご連絡も歓迎しています。
個人の方や法人の方も、賛同や建設的な批判も、この概念を育てる大切な存在です。
お気軽にご連絡いただければ幸いです。
補足)
「メディアヘルス」は商標申請を行っていますが、権利を独占する意図はありません。
将来、第三者によって排他的に使用されることを防ぐための措置です。私たちはこの言葉を、研究・医療・教育・メディアなど、さまざまな分野で自由に使われる公共的な概念へと育てていきたいと考えています。
主要なご質問への回答
- 『メディアリテラシー』との違いは何ですか?
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現時点での認識ですが、『メディアリテラシー』は情報の真偽を見抜く力、だと理解をしています。
食事で例えると、メディアリテラシーは「食べれるもの」と「食べてはいけないもの」を分別するスキルであり、メディアヘルスは食べれるものの中で量と質の栄養バランスを考える姿勢です。共存しつつ相互に発展できる概念だと考えており、ぜひ専門家とも議論を深めていきたいです。 - 『情報的健康』との違いは何ですか?
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関連の著書も拝見し、大きな方向性や目指されている世界観には強い共通性を感じました。多くの示唆をいただき、大変参考にしております。その前提のうえで、あえて現在の立場の違いを整理すると主に以下に集約されると考えています。
- 課題感の領域をインターネット空間に特化していないこと
- 避けるべき情報だけでなく、積極的に摂取すべき情報にも力点を置いていること
- 摂取すべき情報の発信と体現を試みる、メディア側の立場から提唱していること
重要な点は私たちは対立する考え方ではなく、相互に連携し合いながら発展しうる概念だと捉えています。こちらも発案者である先生方とも議論を深め、目指す世界観により近づいていければと勝手ながら考えております。
音声シリーズ:「メディアヘルス」ってなんだろう
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今後も、他メディアとの連帯やイベント情報を発信していく予定です。
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